独立行政法人情報処理推進機構(IPA)から、「DX動向2026 広がるAI導入、DXは変われるか」が発表されました。
「DX動向2026」広がるAI導入、DXは変われるか
「DX動向2026」によると、国内企業のDXおよびAIの取り組みは順調に定着している一方で、その活用目的や得られる成果には課題が残されている状況が浮き彫りになっています。まずDXの取組状況としては、約8割の企業が何らかの形で取り組んでおり、そのうち6割の企業が設定した目的に対して成果を上げていると回答しています。これらの数値は過去の調査と比較しても大きな変動はなく、DXへの取り組みや成果の割合は一定の水準で高止まりしている状況です。
具体的に成果が出ている項目を見ると、「アナログデータのデジタル化」や「業務効率化による生産性向上」といった初期段階の取り組みで高い成果が維持されています。一方で、「ビジネスモデルの根本的な変革」や「企業文化・マネジメントの変革」といったDXの本質に迫る高度な領域でもわずかな伸びは見られるものの、業務効率化などのデジタル化分野に比べると成果を出している企業の割合は相対的に低い水準にとどまっており、真のDXを実現している企業は少ないようです。
AIの導入状況においては、企業規模による明確な格差が生じています。従業員数1,001人以上の大企業では8割近くが導入を進めているのに対し、101人以下の企業での導入割合は16.6%にとどまっており、規模が大きい企業ほど活用が進む傾斜が顕著です。AIを導入した企業における効果自体は非常に高く、期待通り以上の成果を感じている企業が31.8%、一定の効果があった企業を含めると実に8割以上の企業が導入による効果を実感しています。AIの主な利用用途としては、「文書や音声の要約・翻訳・校正」が82.5%、「文書やレポートの作成」が80.5%、「情報検索や分析」が77.0%となっており、社内業務の効率化や情報収集を中心とした用途が主流となっています。これに対して「生産・物流計画の支援」が6.0%、「自社製品やサービスの高度化」が10.9%とされるなど、事業の高度化や新たな価値創出に直結する活用は広がっていません。この傾向は導入による具体的効果にもそのまま表れており、「業務の効率化や迅速化」を感じた企業が91.6%に上る一方で、「顧客満足度の向上」は4.5%、「対象顧客の拡大」は2.7%、「売上や利益の向上」は3.9%にとどまるなど、企業価値の創出やビジネス拡大に関わる成果は数%台と限定的です。
こうした中で、DXに取り組む企業の半数以上(54.2%)はAIをDX推進の具体的な手段として位置づけて活用していますが、約4分の1の企業ではDXとAIを個別に独立した取り組みとして進めている実態もあります。
さらに、DXやAIを推進していく上での最大の障壁となっているのが深刻な人材不足です。DXを推進する人材の量的な確保状況においては、85.5%の企業が不足していると回答しており、過去2年間の調査と同水準で依然として厳しい課題であり続けています。AI関連人材についても、経営者層や一般従業員における活用力不足の割合に一部改善が見られるものの、現場の知見を持ってAI導入を指揮できる人材やデータマネジメントの知見を持つ人材など、中心的な役割を果たす人材の不足感は依然として高いままです。
総じて、企業のDXやAI活用は、社内業務の効率化という面では確実な成果を上げているものの、今後は獲得した効率化の基盤を事業モデルの変革や売上・顧客価値の創出へと繋げていけるか、重要な局面を迎えています。
筆者が嫌な予感を感じることは、2008年に日本にも導入されたJ-SOXと同じことにならないかという点です。J-SOXにより、日本企業は、いわゆる3点セット(業務フロー、業務記述書、Risk Control Matrix)の作成に取り組みましたが、日本の上場企業の不正件数は劇的に減少していません。日本企業は、真面目に取り組もうとするのですが、形式的な対応に止まり、実質的な成果を出すのが苦手です。
独立行政法人情報処理推進機構 経営企画センター 国際・産業調査部 産業調査室「DX動向2026」広がるAI導入、DXは変われるか」公開日2026年7月30日から引用
Shohri Strategy & Consulting TOFF 