平準化は最高の労働生産性向上策

 トヨタ生産方式(TPS)において、「平準化」は、生産する製品の種類と数量を平均化し、毎日の生産数量の変動をなくすことをいいます。これにより、業務の負荷を下げ、仕掛品在庫を削減し、過剰な設備投資を防止します。この平準化は、製造部門、直接部門にだけ有効なのではありません。管理部門、間接部門でも有効です。
 私事になりますが、私は、アグリカルチャーコンペティションアカウンティングコンペティションといった学生たちの研究発表大会を主催しています。それらに参加する学生たちの資料等提出の75%が提出期限日1日間に集中します。ギリギリまで資料の質を高めようとしているということもできますが、本当に質の高い資料が作成できているのでしょうか。多くチームは、時間切れとなって、仕方なく、資料を提出しているのが実態です。一般に、学生は、期限が近づいて、「追い込み」型で学修、作業を行う傾向があります。
 私は、ショーリ・ストラテジー&コンサルティングでのコンサルティング業務、日本大学商学部での授業の他、上記のアグリカルチャーコンペティションアカウンティングコンペティションの主催、多数の研修講師を担当していますが、10月から12月の期間は、業務が膨大な量になります。そこで、私は、大学の授業のない夏休みの期間の空き工数を使って、後学期の授業準備のみならず、研修資料作成、論文や書籍の執筆等を全て完了させてしまいます。翌年1月の期末試験問題も、12月の講演資料も、夏休み期間に全て完了させています。つまり、10月から12月の業務を前倒しして、平準化を図っています。余裕のある時に資料を作成すると、調査も十分に行うことができるので、質も向上します。もちろん、その後、新しい情報が入って来ますので、その都度、見直しも行って、さらなる質の向上を図ります。
 しかし、業務の平準化には、業務計画が必要です。業務計画により、この先の業務負荷の増加が予測できるので、前倒し作業の必要性を認識できます。私の場合、常に半年先までの業務計画を作成し、Google To-Doを使って、前倒しで毎日の業務計画に落とし込んで、業務を行っています。もちろん突発的な業務は発生しますので、その都度、Google To-Doの業務計画を見直しています。
 管理部門、間接部門の業務は、目に見えない業務ですから、これから先の業務計画を作成して、業務を「視える化」することが重要です。そして、業務負荷が大きくなる期間の業務の前倒し、つまり作業の平準化を図れば、年間の労働生産性は飛躍的に向上できるのではないでしょうか。
 ある会社では、決算の業務負荷を下げるため、決算日以前に概算金額で決算仕訳を全て用意し、仕訳の妥当性を監査法人と協議してしまいます。決算日以降は、確定金額を記載することで、淡々と決算業務を進め、決算の早期化を図っています。経理・財務部門は、決算の時期が忙しいというパラダイム(既成概念)を平準化で打ち破っているのです。
 平準化は、労働生産性を図る最高の手法だと思います。

 私の労働生産性向上の方法を『普通の人が普通を超える成功を目指す: 頭のよい人のやり方を真似しても普通の人は成功できない』にまとめ、Amazon Direct Pubilishingで販売しています。もともとは、大学のゼミナールの卒業生に対する卒業記念品として執筆した冊子を加筆修正して出版したものです。