サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ中間論点整理公表

金融庁金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」(座長:神作裕之 学習院大学法学部教授)は、2025年7月17日に中間論点整理をとりまとめ、公表しました。

 グローバルな投資家との建設的な対話を志向するプライム市場上場企業を対象に、時価総額の大きな企業から順次、SSBJ基準に準拠して有価証券報告書を作成することを義務付ける。
 SSBJ基準の適用は、企業等の準備期間を考慮し、
i. 時価総額3兆円以上の企業(68社) : 2027年3月期
ii. 時価総額3兆円未満1兆円以上の企業 (171社): 2028年3月期
iii. 時価総額1兆円未満5千億円以上の企業 (284社): 2029年3月期からの適用開始を基本とし、ⅲ. の適用時期は、国内外の動向等を注視しつつ、引き続き検討していく
としており、株式時価総額5千億円未満のプライム市場上場企業への SSBJ 基準の適用と第三者保証の導入については、企業の開示状況や投資家のニーズ等を踏まえて今後検討し、数年後を目途に結論を出すことが適当であるとしています。

 個人(川野克典)の見解としては、サスティナビリティ開示は、、投資家が中長期的な企業価値を評価し、建設的な対話を行うに当たって必要となる情報であること、また企業の社会的責任遂行の観点からも重要な開示であることは認識しつつも、上場維持コストの増加、また企業の限られた経営資源がこれら開示に注がれる結果、日本企業の競争力低下につながることを懸念せざるをえません。ポータが提唱したCreating Shared Valueや近江商人の「三方よし」ではありませんが、開示よりも、企業戦略の策定と実践がこれらの社会課題(将来の世代のニーズ)の解決とベクトルを合わせることが重要でしょう。