日本語の「会計」を示す英語である「accounting」は、「account」に「ing」を付けて動名詞にした単語です。国語辞書でaccountを調べると、名詞、自動詞、他動詞の意味があり、自動詞の意味には、「~の理由、原因を説明する、~の割合を占める、責任を取る、釈明をする、支出報告をする」と記載されています。つまり、accountには、重要な根拠、理由を説明するという意味があり、単に計算し、財務諸表を作成、説明することを意味するのではなく、財務諸表の結果に至る重要な理由、原因、根拠を記すことが会計の本質的な意味であることがわかります。
また、複数の説がありますが、日本語の「会計」の語源は、中国の歴史書『史記』(夏本紀)にある「計は会なり」が語源であるといわれています。「計」は「言」に「十」が合成されていますが、「言」は伝えることであり、「十」は東西南北を示しています。つまり、他国から情報を集め、君子にその情報を正確に伝えれば、君子が適切な意思決定をいうことができ、結果的に国の利益が増え、国家が繁栄するという意味になるのです。
一方、American Accounting Associationは、accounting(会計)を情報の利用者が、情報に基づいた判断と意思決定をおこなえるようにするために、経済的な情報を識別、測定、及び伝達するプロセスと定義しています。
いずれの例も示すとおり、会計の本質は計算することではなく、適切な情報を内外の利害関係者に伝える、説明することなのです。
昨今、「FP&A(Financial Planning & Analysis)」が注目されています。一般に、FP&Aとは、企業の財務状況を分析・予測し、経営戦略の立案や意思決定を支援する部門のことを指しますが、正に会計の本質に基づいた部門のことを指す訳です。
実は、私(と元アーサーアンダーセン ビジネスコンサルティングのコンサルタント)は、1999年に『戦略経理マネジメント』を出版し、FP&Aと同様の概念である「戦略経理」という概念を主張していました。戦略経理とは、以下の4条件を満たした経理・財務部門と定義している。
①経営者の経営戦略立案に寄与する情報を迅速に提供すること
②経理・財務部門自らが経営戦略の立案に参画すること
③経営戦略実行をモニターし、経営者を含めた関連部門にフィードバックすること
④経理・財務部門が自らのビジョンをもち、ビジョンの達成を目指して、変革を推し進めること
そして、この戦略経理への変革の枠組みは、ルーティン(日常)業務の削減、戦略立案・実行の支援業務の充実、促進要素の3つから成り立つとしています。
未だにFP&A、経理DX言われているのは、四半世紀が経った今でも、戦略経理が実現できていないことを意味しています。ショーリ・ストラテジー&コンサルティングは、戦略経理をTransformation Of Finance Function(TOFF)と置き換え、コンサルティングサービスを提供しています。