noteにアップしたTOFFの記事をご紹介します。
「また、効率化プロジェクトが始まった…」「残業減らせって言われても、やることが多すぎるし…」
という、業務効率化に対する多くの不満の声
これを聞いて、「うちの会社のことだ!」と思った方も多いのではないでしょうか?数年前に大規模な効率化に取り組んだはずなのに、また同じ課題に直面している。そんな「終わらない業務効率化」に悩む企業は少なくありません。私たちコンサルタントも、日々の現場で何度もこの現象に直面してきました。
業務効率化が終わらない理由
なぜ、この「サグラダファミリア」のような業務効率化は繰り返されるのでしょうか?その理由は、主に2つあります。
理由① 変化し続ける外部環境
市場や顧客、競合、さらには技術や法規制など、会社を取り巻く環境は常に変わり続けています。業務プロセスの「最適解」もまた、時間とともに変わります。一度効率化しても、数年後にはそのやり方が古くなり、新たな課題が生まれてしまうのです。
理由② パーキンソンの法則
「仕事は、与えられた時間をすべて使い尽くすまで膨張する」という経験則をご存知でしょうか?たとえ外部環境が安定していても、間接業務は放っておくと、どんどん増えていくという宿命を背負っています。
つまり、業務効率化は「一度やれば終わり」ではありません。重要なのは、継続的に改善していくための仕組みをどう作るかです。この仕組みがないと、定期的に「全社一斉の業務改革だ!」と大騒ぎすることになります。
コンサルタントが実践する業務改善法:ABMとは?
では、どうすれば「終わらない効率化」から抜け出せるのでしょうか?その答えの一つが、ABM(Activity-Based Management:活動基準管理)という労働生産性向上手法です。
これは、業務の流れや量を「見える化」し、課題を特定して、効果的な改善策を実行する取り組みです。私たちのコンサルティングでは、以下の4つのステップで進めていきます。

ステップ① 業務調査と「見える化」
まずは、業務の現状を徹底的に把握します。「この作業が大変で…」といった定性的な意見だけでは、何が本当に重要なのかわかりません。そこで、以下の3つの視点から業務を分析します。
インプット: 従業員がどれだけその業務に時間やコストを費やしているか。手法例: 各従業員に個々の作業に何分かかったかを記録してもらう「タイムレポート」。
プロセス: 業務の流れそのもの。
手法例: 業務の流れを図で示す「業務フロー分析」。
アウトプット: 業務の結果として何が生み出されているか。
手法例:報告書や会議資料の「成果物分析」。
特に、最後の「成果物分析」はシンプルですが非常に効果的です。過去に上層部から求められて始めたものの、今となっては不要になっている資料は意外と多いものです。「この資料、本当に必要ですか?」とひとつひとつ問い直すことで、削減が難しいと思っていた無駄な作業を大胆にやめられます。
ステップ② 課題抽出と優先順位付け
業務の全体像が見えたら、どこにムダがあるのか、どこが全体の生産性を妨げる「ボトルネック」になっているのかを特定します。そして、改善効果や影響度を基準に、対応すべき業務に優先順位をつけます。
ステップ③ 改善策の検討・実行
優先度の高い業務から、改善策を検討します。まずは「この業務、そもそもやめられないか?」という視点から始めます。それが難しければ、簡素化、標準化、平準化といった方法で業務をシンプルにします。
ここで最も重要なことは、最初からシステム化を考えないことです。ムダな業務が残ったままシステムを導入すると、ムダを温存したり、不要なシステム改修につながるリスクがあります。AI(Artificial Intelligence)、RPA(Robotic Process Automation)といった最新技術は、業務を徹底的にシンプルにした後に活用することで、より少ない投資で、より大きな効果を得られるのです。
ステップ④ 継続的な評価・改善
最後に、改善計画を立て、それが計画通りに実行されているか、成果が出ているかを継続的に評価します。このPDCAサイクルを回すことで、業務改善が単発で終わらず、継続的な取り組みへと進化していきます。
まとめ
間接業務は放っておくと、どんどん膨らむ宿命にあります。だからこそ、一度きりのイベントではなく、継続的に改善する仕組みを組織に組み込むことが不可欠です。
まずは皆さんの職場でも、身近な業務から「この作業にどれくらいの時間を費やしているか?」「この資料は本当に必要か?」と問い直すところから始めてみてはいかがでしょうか?
【皆さんの会社の経理・財務業務の成熟度を測定してみませんか?】
私たちTOFFチームでは、経理・財務部門の方向けに、業務の成熟度を無料で診断する「クイック診断」を提供しています。
ご自身の会社の現状を客観的に評価してみたいという、大企業の経理・財務部門の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にTOFFチーム(toff@shohri.com)までご連絡ください。
(※「クイック診断」には、いくつかの実施条件がございます。)
ショーリ・ストラテジー&コンサルティング株式会社
TOFFチーム
内海正太郎